貸金業者には取引履歴の開示義務がある!
今では、取引履歴の開示請求をすれば当然のように開示されますし、大手キャッシング会社などでは専用の窓口もちゃんとあるのですが、この判決が下されるまで取引履歴の開示を求めて応えてもらうこと自体が大変難しいものでした。
この判決で、最高裁は『貸金業者は債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、特段の事情がなければ信義則上、開示義務を負うもの』と判断しました。
また『開示義務に違反した場合は、その行為に違法性があると認め、不法行為を構成するもの』と述べています。
こうした判断が下される一因として、債務者が下に記した大きな不利益を被る可能性があることを指摘しています。
- 弁済計画を立てることが困難になる。
- 過払い金が生じていても返還請求できない。
- それどころかさらに弁済を求められても応じるしかない。
逆にキャッシング会社側に対しては、
- 貸金業者が債務内容を開示することは容易である。
- 開示をすることでの特段の負担が生じない
と述べています。
事件番号 | 平成16(受)965 |
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事件名 | 過払金等請求事件 |
裁判年月日 | 平成17年7月19日 |
法廷名 | 最高裁第三小法廷 |
裁判種別 | 判決 |
結果 | - |
判例集 巻・号・頁 | 第59巻6号1783頁 |
原審裁判所名 | 大阪高等裁判所 |
原審事件番号 | 平成15(ネ)3348 |
原審裁判年月日 | 平成16年3月4日 |
判示事項 | 貸金業者の債務者に対する取引履歴開示義務の有無 |
裁判要旨 | 貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業の規制等に関する法律の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う。 |
参照法条 | 民法1条2項 民法587条 民法709条 貸金業の規制等に関する法律19条 貸金業の規制等に関する法律施行規則16条 |